2014.1.29
霞が関ビル35階
涌井雅之先生ご講演メモ
日本専門新聞協会主催平成26年 新春講演会「環境革命と国づくり,人づくり」
・ ある中小企業の経営者は,これからは3割安くするか、3倍技術力を上げるしかないとおっしゃっていた.
・ 「吾唯足知(われ ただ たるを しる)」と京都,竜安寺石庭の北庭(非公開)にある水壺(蹲:つくばい)に刻まれている.
・ 「不安な時代の価値観マーケティング-旅行編」(富士通総研)では,アンケート結果をもとに「つながり志向」「安らぎ・癒し志向」「すごもり志向」などの生活者の価値観変化を抽出して,各タイプをツバメ、コウモリ、タカ、フクロウと命名し,巣篭り志向が増えていると分析している.
・ ブータン王国は国家の指標として,GNH(国民総幸福量)を打ち出している.
・ ケンペル(ドイツ人医師)が幕末の日本を訪れて,貧乏であっても,それを苦にしない姿に感動したと,エリザベス女王が1975年の来日時晩餐会で紹介した.
・ 「ルビンの壷」は向いあった人の顔にも見えるが,見えないものを見出すことが大切である.人はどうしても既往の概念に染まりやすいので,発想の転換が大事である.
・ 産業革命後の世界は「成長」が基盤であったが,環境革命後の世界は,「成熟」が社会基盤である.環境革命は,インフラに自然を取り入れることである.そして地縁結合型社会に転換し,自立することである.
・ かつての「まちづくり」より「まちおこし」が重要となる.
・ 日本は世界でも美しい景色がある.それには理由がある.厳しい自然との共生が美しい景色を生むのである.
・ 西欧は城壁で生活空間を切り分け,外側に墓地を作った.
・ 一方,日本は江戸で代表されるように,「大家は長屋の糞で餅をつく」(「店中の尻で大家は餅をつき」)の糞尿のリサイクルや悉皆屋(修理屋)という商売も成り立っていたほどリサイクルが盛んであった..
・ 西欧に対して,日本の城の外は「里山」である.
・ 日本の自然の扱いが難しい。海流、脊梁山脈、川の勾配は急流で滝のようである.世界の0.25%の領土にM6以上の地震の2割が起こる.日本に住む日本人は,美人の妻(日本の自然は,美しく怖い)を貰った亭主に例えられる.
・ 日本には「いなす」知恵,レジリエンスな知恵がある.これを活かすべきである.
・ 東京タワーは剛な構造に対して,スカイツリーは柔な構造で日本の塔の建築技法を応用している.両者は対照的である.
・ 「大宝律令」をつくった藤原不比等は,行政界を流域界で分けた.
・ 日本の里山システムは,「奥山」には手を入れない.
・ 奥山,里山につづき,野辺,川辺,浜辺がある.
・ 奥出雲のたたら製鉄における鉄穴流しでは,里山の丘陵を切崩し,美しい棚田ができた.これは文化景観のひとつである.
・ 塩田が盛んだった地域では,燃料としての松を海岸に植えて,松木山という文化景観をつくった.
・ 雪国にはブナ林の里山があり,薪の提供,水源林として機能している.
・ 自然からの恵みは「利息」のようなものである.「元金」の自然は復元され続ける.日本がCOPで提唱したSATOYAMAに,発展途上国が賛同し,日本を支持してくれた.
・ 東北の海岸には海岸砂丘が発達し,その背後は湿地となっている.砂は強風で瞬く間に移動し,田畑が覆われてしまう.これを防ぐために,海岸防災林を育てた.
・ 武田信玄は,「聖牛」や「(棒)ダシ」などの水制工を立案・構築し,暴れ川を制御した.
・ 加藤清正は,水路の底に穴をいくつか掘って,水が渦をおこさせ,含まれる火山灰土(ヨナ)が水路底にたまらない工夫をした.
・ 日本は「花鳥風月」の国である.
・ 災害に対しては,「緩和」と「適応」という対応策に区分される.
・ 現代では,世界の約6割の人口が都市に暮らしている.
・ 日本人は「緑(みどり)」があって当たり前と思ってきた。
・ 敗戦後のシャウプ勧告によって,日本は道路を作り出した.
・ 都市化に伴い「緑(みどり)」は減少してきた.
・ 今世界はモーダルシフトの潮流にあり,都市の自動車を排除しようとしている。
・ 都市はコンパクトにして,「緑(みどり)」を増やす「コンパクトシティー」構想が大事になる.
・ 東京はコンパクト化を目指している.それが現れたのが東京オリンピックである.
・ レガシープランが大事である.オリンピック後に何を遺すのかという視点が重要である.(ロンドンはオリンピックの後に世界一住みやすい都市に変貌した)
・ 自然資本を重視することが大事である.たとえばパリ市内には,プジョーのレンタルサイクルが300箇所以上整備されている.
・ アメリカのウエストサイド地区の再活性化では,市民の運動が引き込み貨物線の高架を「緑のハイライン」によみがえらせた.
・ 韓国ソウルでは,前大統領の主導で高速道路を取り壊し,本来の川を復元した.
・ 涌井氏が手掛けた渋谷の大橋ジャンクションは,道路に屋根をかけ,「天空の庭 」をつくり,市民にやすらぎ空間を提供して,JHの企業イメージを一新させた.
・ 森ビルは,「生物多様性配慮型ビル」を提供している.これらは,「環境不動産価値」に結びつく.
・ 朽ちるインフラをどうするか考えて,(涌井氏が)東急と森ビルを引き合わせ「多摩田園都市22世紀ビル構想」を起こした.
・ これからのインフラは「夢を創る」ことが大事である.「りんご形の国土計画」から「ぶどう型の国土計画」への転換が求められる.
・ 「エネルギー」「情報」「アクセス」「エコロジー」が「ぶどうの実」であり,国家の軸は「ふどうの茎」にあたる.
・ 五木寛之著「下山の思想」(玄冬舎新書)の「下山」とは,成長期に対する成熟期を指している.
・ これからは,日本も世界も「自然の力を借りたグリーンインフラ」を整備していく必要がある.
以上(高橋一紀 2014.2.5記)
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