2010年3月22日月曜日

「自然との共生」というウソを読んで

自然とは何か.人も生物であるのだから,その行為(繁殖と巣作り)もすべて自然だということもできる.

ヒトは,天然に存在するものから,ヒトが必要とするものを作っているに過ぎない.ヒトの住処は,天然材料からできている.すると,すべてが自然の仕業となり,自然としては,なにも問題がなくなる.何が問題なのだろうか.

つまるところ,このまま人間の好き勝手をすると,ヒトとしての自分の子孫が危機に陥るかもしれないという恐れを感じることが問題なのだ.周囲の環境がどんどん勝手に変化していくことを目の当たりにする.慣れ親しんだ風景,動植物がなくなることにヒトは不安を感じる.そして,それらが失われていくことを恐れ,自分が経験した過去の姿に戻そうするのが,自然保護活動にありがちだと言う.

ヒトは本能と学習のふたつによって思考が強く制限されているとする.

ヒトの本能は,環境を変えて子孫を増やそうとすることである.しかし,他からの変化には恐れを感じるという.学習は,経験したこと以外はなかなか受け入れることが難しいという習性である.すなわち生まれと育ちに制限されるということである.

これに対して,長いスパンで考えることの重要性を説く.地球に生命が誕生して以来,生物種がどのような変化をたどってきたか.ヒトが誕生して以来,どのような環境をすごしてきたか.このような,広い視野から現在,未来を考えることはとても重要である.そこそこ50年,100年前後の体験を基準に,生態系をいじろうとすることは視野狭窄である.

とはいうものの,自然に手を加えなれば,人間の生活が危うくなる.どれだけの人口を維持することが適当なのだろうか.人は大型の哺乳類である.その生活に必要な土地の面積も大きい.人の住処という巣も大きい.

結局,ヒトの繁殖と巣作りを知性でコントロールできるかにかかっていると思う.ここに人類の英知が試される.

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